ボーン・フリーから統合的ライフプランニングへ。|サニーハンセンのキャリア理論ガイド②





こんにちは、キャリア・インサイトです。

好評のキャリア理論解説をお届けします。

第二回の今回は統合的ライフプランニング理論を提唱したサニー・ハンセンの背景に今迫ります。

それでは、どうぞ!

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ボーン・フリーから統合的ライフプランニングへ。|サニーハンセンのキャリア理論ガイド②



photo credit: dolbinator1000 Burst via photopin (license)



キャリアにまつわる理論のご紹介、今回はサニー・ハンセン編の第二回をお届けします。
前回の記事で、サニー・ハンセンが主張した統合的ライフプランニング理論のご紹介を致しました。その実態をさらに深く見る前に、その理論の生まれた背景について見てみたいと思います。

「ボーン・フリー」統合的ライフプランニング理論の生まれた背景:サニー・ハンセンのキャリア理論②



サニーハンセンはアメリカ・ミネソタ大学でカウンセリング・ガイダンスの博士号を取得した後、カウンセラーや教師として活躍して来ました。
そんな中、彼女はキャリアの問題として、男女の「性役割」とステレオタイプの問題を重要な問題と考えるようになります。

そうして、1976年から「BORN FREE」(ボーン・フリー)というプログラムを指揮し、職業における性役割、男女平等などの問題に取り組むようになります。

BORN FREEとは、to Build Options, Reassess Norms, and Free Roles through Educational Equityの略で、男女の教育的平等を通じて、自由な進路の選択や役割、基準の見直しを図るというプログラムです。

そうして特に女性のリーダー的な存在として、キャリアの問題に関わるうちに、仕事、職場、働き方の価値観の大きな変化の中、伝統的な職業選択の論理がマッチしなくなって来たことに注目しました。

また履歴書などに記載されるキャリアを重視するあまり、その背景にある人間的で包括的な人生設計がないがしろにされていること、本来そのことについてしっかり個人にアドバイスをするべきキャリア・カウンセラーやキャリアアドバイザーが、個人主義的な個人の満足だけにスポットを上げてキャリアの指導をすることなどに問題を見出したのでした。

ハンセンが特に問題点としたのは、キャリア発達における社会や環境における以下のような変化でした。

・労働市場への女性の劇的進出。
・仕事と家庭の連携とバランスが必要であることの認識。
・移住者、移民、難民の増加にともない、多文化に対応出来るカウンセリングの広がり。
・キャリアおよび生涯におけるキャリア発達の概念の登場。
・複数のアイデンティティと状況とに重きを置くこと。およびそのキャリア・カウンセリングへの影響。
・人生や仕事における精神性(spirituality)を重視する傾向の増加。
・学校、職場、コミュニティにおける暴力に対する心配。
・持てる者と持たざる者との格差の広がり。
・心理および教育便やでのリサーチにおいて、新しい研究方法が認定されて来た事。

このような問題点を抽出しながら、長年取り組んだ「Born Free」のプログラムがハンセンの理論を構築して行きます。それは、キャリア発達の理論から、性役割の理論、多文化理論など幅広い問題を吸収するものでした。

それがやがて、彼女の代表的な理論であるILP(統合的ライフプランニング理論)に繋がって行きます。


以上、今回はサニー・ハンセンの理論が生まれた背景についてご紹介させていただきました。
前回の記事でも書きましたが、彼女がBorn Freeプログラムをスタートさせたのが1976年。統合的ライフプランニング理論を発表したのが1997年です。

上記のような問題点は2016年の現代でも、海外のみならず日本でも大きな働く環境の問題となって来ています。

男女問題だけでなく、移民問題などを中心とした、多文化理解に切り込んでいるのが特徴で、ハンセン自身もノルウエーからの移民家系でありました。本当に彼女の問題点の指摘は現代でも全く色あせることがないのが驚きです。

次回はいよいよ統合的ライフプランニング理論の実体に迫ります。

サニー・ハンセン理論解説・第三回はこちら。



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